はじめてのイベント開催の流れ(とある1ストーリー)
無料のイベントスペースとしても活用できる高円寺のカフェ&バー・コネクシオンです。
今回は、これまでとはテイストを少し変えて、コネクシオン(高円寺)でイベントを開催する流れを、小説仕立てでお伝えします。
コネクシオン(高円寺)でイベントを開催する流れだけでなく、イベントのイメージを膨らませる手助けになればと思います。
「友だちがほしい」
就職して上京した。初めての仕事で日々手一杯。だから友達はほとんどいない。
「上京したら遊ぶんだ!」と思っていた。この思いを励みに就職を頑張ってきた。だが友達がいないのに遊んでも楽しくない。
もうすぐ夏休みがやってくるというのに。高円寺の木造アパートで冷やし中華を食べながら、改めて思った。
「友だちがほしい」
DJイベントなら手軽にできる
「だったらDJイベントをやってみたら?」
地元の企業に入った親友が、電話で僕に言った。
「DJイベント?」
「音楽好きでしょ?音楽好きで、好きな音楽持ち寄って、でかい音で流して、酒を飲む。これだけでもDJイベントとして十分成立するよ」
「友だちいないのに、DJイベントってできるものなの?」
「DJイベントやろうよ!って知り合いレベルの音楽好きに、声かけたら、イベントをきっかけに友だちになれるよ。音楽好きって自分のセンスに自信あるから、イベント誘われたら喜ぶと思うよ」
なるほど、と思った。でもクラブを借りるお金なんてない。
無料のイベントスペースが高円寺にあった!
生まれた時からグーグルがある。僕の思考回路にはグーグルが組み込まれている。人間とは怖いものだ。考える前に、ググっていた。
『無料のイベントスペース 高円寺』
すると、高円寺南のコネクシオンというカフェ&バーが、無料のイベントスペースとして利用できることが分かった。
しかしタダより高いものはないという。何か裏があるのでは?と思った。
まずはお店で話をすることになった
疑念はすぐに氷解した。どうやら、バーという業種は、新規客の開拓がなかなか難しいものらしい。そのため、新規客を開拓するために、店舗を無料のイベントスペースとして活用できるようにしているとのこと。ブログに書いてあった。
これなら納得だ。
ブログには電話番号が書いてある。さっそく電話してみた。
「無料でイベントできるって聞いたんですけど……」
「できますよ。まずはお店に来てください。18時から20時の間でしたら、ゆっくりお話しできるかと思います」
気さくな声に安心した。幸い、今日は何もない。善は急げとばかりに、早速行くことにした。
初めてのイベント開催も歓迎
「DJイベントは初めてですか?」
僕の不安を見抜くように、コネクシオン(高円寺)のマスターが言った。
「実はそうです……無謀ですか?」
僕は遠慮がちに言った。
「そんなことないですよ。当店ではiPhoneをジャックにつないで曲流すだけのイベントもありますし。DJイベントの間口はとても広くなったと思いますよ。曲のつなぎを、あまり気にする必要はありません。マイクもありますので、ラジオDJのように喋ってつなげるのもおすすめです」
その他にも、マスターは丁寧にイベントのいろはを教えてくれた。
「”初めてのイベント開催ガイド”というブログというのもやってます。イベントのお手伝いを毎週するなかで感じたことを書いていますので、参考までに見てやってください」
イベントは勢いが大事
「ところで」と、マスターが言葉を継いだ。
「イベントの開催はいつをご希望ですか?仲間を集めるところからなら、ちょっと時間が必要ですね」
「もう8月になったので、9月末くらいでしょうか?」
「難しいところですね。時間はある程度必要ですが、あまり時間を置くと、熱が冷めてしまいがちです。勢いって大事ですよ。8月末、阿波踊りの次の日曜とかいかがですか?」
僕の予定は特にない。ひとまず、そこを押さえておくことにした。
自分たちが楽しむために集客をする
「じゃ、なにかあったらいつでもご連絡ください」とマスターは言って、僕を見送ってくれた。
なんだかんだで、いっしょにイベントをやるDJは集まった。僕をいれて全部で4人。声をかけてみると、意外にみんなノリ気なのだ。音楽好きは聴かせたがりなんだな、と改めて思った。
「集客ノルマはありません。でも、お客さんが来たほうが面白いですよ。皆が楽しんでいる空間を自分が作っている喜びは、イベント主催者の醍醐味です」
マスターの言葉を思い出す。でも、もしお客さんが来なかったらどうしよう。僕たちはイベント当日まで、ツイッターとフェイスブックで、何回もイベントの告知をした。
20人で満席なのが良いところ
ついにイベント当日がやってきた。お客さんは来るのか、なんて不安はなかった。
イベントの告知をしていると、レスポンスがあったのだ。
『DJイベントするなんて意外!』
いつもはコメントもつかないフェイスブックに、コメントが相次いだ。あれよあれよという間に、1人の知り合いが、友達を誘って、3人で来てくれることになったのだ。
他のDJたちもそんな具合で、なんだかんだで、その日、コネクシオンは満席になった。20人の集客は、クラブだと寂しいだろうけど、コネクシオンならちょうどよい感じだ。
初めてイベントを開催する人にとっては、気が楽だ。
イベント後の打ち上げが、次のイベントの原動力
20時から始まったイベントは、24時でいったん終了とした。出演してくれたDJたちと話す。自然と次のイベントの話になる。お客さんとの会話のなかで、各々、次のイベントのイメージが生まれていたのだ。
ふと、出演者のひとりが僕に聞いた。
「なんでDJイベントを開催しようと思ったの?」
友だちが欲しかったから、とはいまさら言えない。
「でかい音で酒を飲みたかった!」
とりあえず乾杯して誤魔化した。
コネクシオン | Koenji - The Connection
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